商談単価を2倍にする「アップセル・クロスセル」の戦略

目次

はじめに

営業活動の中で、商談単価を上げることは重要な課題の一つです。特に、既存顧客との関係を深めながら利益を最大化する「アップセル」や「クロスセル」は、多くの営業マンにとって取り組む価値がある戦略です。本記事では、駆け出し営業マンや中堅営業マンを対象に、商談単価を2倍にするための「アップセル」と「クロスセル」の具体的な戦略をわかりやすく解説します。


アップセルとクロスセルの基本

アップセルとは?

アップセルは、顧客に現在検討している商品やサービスの「上位版」や「高価格帯」の商品を提案することです。たとえば、スマートフォンを販売する場合、ストレージ容量が多いモデルや最新機種を提案することがアップセルに該当します。

クロスセルとは?

クロスセルは、顧客が購入を検討している商品やサービスに加えて、関連性の高い別の商品を提案することを指します。たとえば、ノートパソコンを購入する顧客に対して、マウスや外付けハードドライブを提案することがクロスセルにあたります。

アップセルとクロスセルの違い

アップセルは「品質」や「価値」の向上を狙った提案であり、クロスセルは「補完性」や「利便性」を高める提案と言えます。いずれも顧客満足度を向上させるための手段であり、単なる利益追求ではなく顧客のニーズを満たすことを目的としています。


なぜアップセル・クロスセルが重要なのか?

  1. 既存顧客との関係強化 新規顧客を獲得するよりも、既存顧客に販売する方がコストが低く済みます。また、既存顧客はすでに信頼関係が築かれているため、新しい提案を受け入れてもらいやすいのが特徴です。
  2. 商談単価の向上 アップセルやクロスセルを活用することで、商談の単価を大幅に引き上げることができます。同じ商談でもより高い売上を生むことが可能です。
  3. 顧客満足度の向上 適切な提案を行うことで、顧客に「自分のニーズを深く理解してもらえた」という印象を与え、満足度を高めることができます。

商談単価を2倍にする具体的な戦略

1. 顧客のニーズを深掘りする

顧客が本当に求めていることを理解するためには、質問力が重要です。

  • 「現在のお悩みは何ですか?」
  • 「理想の状態はどのようなものですか?」

こうした質問を通じて、顧客の隠れたニーズや希望を引き出しましょう。深掘りした情報をもとに、より適切なアップセル・クロスセルを提案できます。

2. 商品・サービスの価値を明確化する

提案する商品やサービスの「価値」を顧客に伝えることが重要です。具体的には以下のポイントを説明しましょう。

  • 長期的なコスト削減効果
  • 業務効率の向上
  • ブランド価値の向上

たとえば、より高価なソフトウェアを提案する場合、それが業務効率をどれだけ改善するかをデータで示すと効果的です。

3. タイミングを見極める

アップセルやクロスセルの提案は、タイミングが重要です。

  • 顧客が基本商品に興味を示している段階
  • 購入直前または契約更新時

適切なタイミングで提案することで、顧客が前向きに検討しやすくなります。

4. 顧客体験を重視する

提案が「押し売り」と受け取られないよう、顧客体験を意識しましょう。

  • 購入後のフォローアップを約束する
  • 使用感や成功事例を共有する

顧客の成功ストーリーを伝えることで、提案がより魅力的になります。


アップセル・クロスセルを成功させるポイント

顧客視点で設計する

アップセルやクロスセルは顧客の視点で設計することが重要です。企業の都合で設計してしまうと、顧客は無理に購入やアップグレードを勧められているように感じてしまい、満足度や企業への信頼が低下してしまう可能性があります。

ただ単に目先の利益を得るためではなく、「アップセル・クロスセルを行うことでさらに顧客の満足度を高める」という意識を持つことが必要です。「なぜ一緒に買うべきなのか」「グレードアップによってどのようなメリットが得られるのか」など、あくまでも顧客視点で自然と価値を感じられるアップセル・クロスセルの戦略を考えましょう。

訴求するタイミングを最適化する

アップセル・クロスセルは、最適なタイミングで訴求しないと効果が出にくいものです。アップセルの場合、商品を選んでいる段階でより高品質の商品を提案したり、購入確認時にアップグレードを提示したりするのが効果的です。また、サブスクリプションサービスの場合、顧客が高い満足度を示したタイミングで上位プランを提案するなども考えられます。

また、クロスセルの場合も、商品の選択中や購入確認時が有効。一定額以上の購入で送料無料になる、誕生月はセット購入がお得になるなどのキャンペーンのタイミングで訴求するのも効果的です。

NPSの活用で顧客ロイヤルティを見極める

アップセル・クロスセルが成功しやすく、かつ高い満足度を感じるのは、企業やブランドへのロイヤルティが高い顧客だといわれています。ロイヤルティの低い状態で画一的なアップセル・クロスセルを行うと、効果が出ないばかりか、かえって悪い印象を与える恐れがあるので注意しましょう。アップセル・クロスセルを成功させるためには、顧客ロイヤルティを計測する指標となるNPSを活用するのがおすすめです。

NPSとは、アンケートによって顧客が企業やブランドに対しどれくらいの愛着や信頼感を持っているかを計測し、数値化するための指標です。NPSでは「商品をどの程度親しい人にすすめたいと思うか」という問いの回答者を点数によって「批判者」「中立者」「推奨者」の3つに分類します。NPSの活用により、顧客ロイヤルティの計測や推奨者が価値を感じているポイントを明確にでき、効果的なアップセル・クロスセルを実施することができます。


ケーススタディ

ケース1: SaaS企業の場合

あるSaaS企業では、基本プランの利用者に対して、プレミアムプランをアップセルとして提案しました。その際、プレミアムプランの機能が具体的に業務効率をどれだけ向上させるかをデータで示したところ、コンバージョン率が35%向上しました。

ケース2: 小売業の場合

小売業では、スマートフォン購入者に対して保護フィルムやケースをクロスセルとして提案しました。商品をセットで提案することで、単価が平均20%上昇しました。

ケース3: とあるスポーツ球団の場合

あるスポーツ球団では、ファンクラブの会員満足度を向上させるためにNPS®調査を導入しました。この調査により、特に記念品として提供されるユニフォームがロイヤルティ向上に大きな影響を与えることが判明しました。

そこで、ファンクラブの上位グレードの会員に対して記念品としてユニフォームを選択できる特典を追加した結果、上位グレードの会員数が劇的に増加しました。このように、顧客に寄り添い課題を解決することで、アップセルを実現した事例です。


まとめ

アップセルとクロスセルは、顧客満足度を高めながら商談単価を引き上げるための強力な戦略です。顧客のニーズを深掘りし、価値を明確に伝え、適切なタイミングで提案することが成功の鍵です。ぜひ、本記事の内容を実践し、営業活動の成果を最大化してください。


あなたも実際にアップセル・クロスセルの戦略を試してみませんか?ご意見や質問があれば、ぜひコメント欄でお知らせください!

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