営業KPIの作り方、見直しや設定ミスを防ぐ方法

営業の仕事は「結果がすべて」と言われることが多いですが、正しい方向性と努力を確実に実行するためには、KPI(Key Performance Indicator: 重要業績評価指標)を適切に設計し運用することが不可欠です。特に駆け出し営業マンや中堅営業マンにとって、KPIを理解し、活用することはキャリアの成長に直結します。本記事では、熟練営業マンの視点から、KPI設定の基礎と逆算思考を活用した設計方法、見直しのポイントを解説します。


目次

KPIとKGIの違いを理解しよう

まず、KPIを理解するためにはKGI(Key Goal Indicator: 重要目標達成指標)の存在を知る必要があります。KGIは「最終的に達成したい目標」を指し、例えば「年間売上1億円」や「新規顧客獲得数50件」などが該当します。

一方で、KPIはその目標を達成するための進捗を測る指標です。KPIは実行のプロセスに焦点を当て、日々の行動を定量的に評価します。例えば以下のように分解します。

  • KGI(最終目標):年間売上1億円
  • KPI(進捗の指標):月間新規商談数20件、訪問数50回、提案件数30件

KGIが「到達点」であるなら、KPIはそこに向かう「道筋」だと考えると分かりやすいでしょう。


逆算思考でKPIを設計する

KPI設計の基本は、ゴールから逆算して考えることです。以下に手順を示します。

1. ゴール(KGI)を設定する

最終的に何を達成したいのかを明確にします。たとえば、年間売上1億円を目指すとします。

2. ゴールを分解する

目標達成に必要な要素を分解します。売上1億円を達成するには、以下のように考えます。

  • 平均単価:100万円/件
  • 必要受注数:100件(= 1億円 ÷ 100万円)

3. 必要な活動量を計算する

受注率や営業プロセスのデータをもとに、行動レベルの目標を設定します。

  • 新規商談の受注率:20%
  • 必要商談数:500件(= 100件 ÷ 20%)
  • 1カ月あたりの商談数:42件(= 500件 ÷ 12カ月)

4. 実行可能な目標を立てる

1カ月42件の商談を達成するには、1週間で約10件の商談を行う必要があります。さらに、訪問件数や架電数など具体的な行動に落とし込むことで実行可能性を高めます。


KPI設定時に注意すべきポイント

KPIを設定する際、以下のポイントを押さえることでミスを防ぐことができます。

1. 現実的であるか

過剰な目標設定はモチベーションの低下につながります。一方で、低すぎる目標は成長の機会を奪います。過去のデータや市場状況を参考に、実現可能性を検討しましょう。

2. KGIと一致しているか

KPIはKGIに向かう道筋です。例えば、受注率の向上が重要な場合、「商談数」だけを追いかけても意味がありません。「提案の質を高める」といった指標も視野に入れる必要があります。

3. 測定可能か

曖昧な指標は避け、数値や具体的な行動で評価できるようにします。「頑張る」や「良い提案をする」は指標になりません。


KPIの見直し方法

営業環境や個人の成長に伴い、KPIは定期的に見直す必要があります。以下のタイミングで再評価を行いましょう。

  • 目標未達が続くとき
    原因を分析し、指標や行動に問題がないか確認します。
  • 外部環境が変化したとき
    市場の動向や競合の変化に応じて、目標を再設定する必要があります。
  • メンバーのスキルが向上したとき
    能力が向上した場合、より高い目標に挑戦することで成長を促します。

まとめ:KPIは「目的地までの地図」

KPIは、営業の最終目標(KGI)を達成するための地図のようなものです。正しく設計されたKPIがあれば、目標までの道筋が明確になり、日々の活動が無駄なく進みます。逆算思考を活用し、現実的かつ挑戦的なKPIを設計することで、結果を出す営業マンへと成長しましょう。

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