数字は嘘つかない。だが嘘つきは数字を使う。セールスマンの矜持を持とう。

はじめに

営業の世界では、数字が全てと言われることが多いです。売上目標、成約率、KPI…。これらの数字は確かに営業活動の成果を測る重要な指標ですが、同時に数字を使った欺瞞や誤魔化しも少なくありません。本記事では、数字の持つ力とそれに伴う責任について考え、セールスマンとしての矜持を持つための方法を探ります。

数字の持つ力

数字は一見すると客観的で正確な情報を提供してくれます。たとえば、売上が昨年比120%増加したと聞けば、業績が向上していると判断するでしょう。しかし、その背景にはさまざまな要因が隠れています。以下の例を見てください。

年度売上(万円)成約件数客単価(円)
20235005010,000
20246006010,000

一見すると、売上は増加しています。しかし、成約件数と客単価が同じであることから、売上増加の原因は単純に「数をこなした」結果であることが分かります。ここで考えなければならないのは、単に数字を追い求めるのではなく、その数字の背景にある意味を理解しようとする姿勢です。

業種ごとの具体例

携帯ショップの「実質」無料

携帯ショップでよく耳にする「実質無料」という言葉。これには注意が必要です。たとえば、新規契約時に最新機種が実質無料と宣伝される場合、多くは長期契約や特定プランへの加入が条件となります。以下はその典型的な構造です。

機種代金月額割引額契約期間実際の総負担額
120,000円5,000円24ヶ月0円

一見すると負担がゼロに見えますが、解約時には残債が請求されることや、不要な高額プランに縛られる可能性があります。お客様にとって「実質無料」が本当に得かどうかを冷静に見極める必要があります。

不動産投資における節税メリット

不動産業界でもよく聞く「節税効果」。たとえば、ワンルームマンション投資を勧める際、減価償却を用いて所得税の節税が可能だとアピールされます。しかし、この数字のトリックには注意が必要です。

投資額減価償却額節税額実際のキャッシュフロー
3,000万円90万円27万円毎月赤字5万円

節税効果があるとしても、キャッシュフローが赤字であれば長期的な運用に支障をきたします。このようなケースでは、数字のメリットだけでなく、リスクも十分に説明することが大切です。

数字を操る嘘つきの手法

残念ながら、数字を使って都合の良いように見せかけることは容易です。以下はその典型例です。

  1. 基準を変える:前年と異なる基準で測定し、成長しているように見せる。
  2. 一部のデータのみを強調:有利なデータのみを取り上げて全体像を隠す。
  3. 割合と絶対数の混同:成長率(割合)だけを見せて、実際の規模(絶対数)を隠す。

これらの手法を理解し、見抜く力を養うことが大切です。

セールスマンの矜持

営業マンとして、数字を操作する誘惑に駆られることもあるでしょう。しかし、本当に信頼される営業マンは、数字の裏側にあるストーリーを伝えることができる人です。

  • 誠実なコミュニケーション: 誤魔化さず、正直に現状を伝える。
  • データの文脈を伝える: 数字が示す背景や要因を丁寧に説明する。
  • 長期的な信頼を築く: 短期的な成果よりも、長期的な関係を重視する。

まとめ

数字は強力なツールですが、それをどう使うかは営業マン自身にかかっています。数字を使って嘘をつくのではなく、数字を通じて真実を伝えること。それこそがプロのセールスマンとしての矜持です。今日から、数字と真摯に向き合い、信頼される営業マンを目指しましょう。

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