こんにちは、トイアンナです。
本稿では実体験に基づいた「自社に営業が自分しかいない状態で、まず何から手を付けるべきか」をご案内します。
初めて営業組織を立ち上げるとき必要なのは「キードライバーの把握」
「さあ、営業を始めるぞ! まずはテレアポのリスト作成だ!」
というのが、最も陥りがちなワナです。と申しますか、私が落ちたワナです。
まず営業担当がすべきは「キードライバーの把握」でした。キードライバーとは、そのビジネスが成り立つうえで「何が売上へつながる最大の要素か」を把握することです。
たとえば、弊社はライター集団が記事を制作するサービスを提供しています。いわゆる編集プロダクションです。
しかし、他社との大きな違いは「企画からサポートできること」にあります。雑誌、広報誌、オウンドメディアなんでもござれ。この「企画からできます」という事実が、多くの取引先に気に入っていただけて発注が成立していたのです。
ところが、営業を始めたての私は「企画からできる」ことが成約率を上げていることを知りませんでした。ですから、テレアポでどんどん「執筆できます!」とだけ話しかけていたのです。当然、成果はゼロでした。
このように「自社がなぜ成約を得ているのか? あるいはこれから得られるのか?」を理解しないまま飛び込み営業をすると泣くだけに終わります。
営業は既存顧客の蘇生からはじめよ
そして、何も考えずにスタートアップで営業を始める方がやりがちな次のワナが「新規顧客の開拓」へいきなり手を出すことです。
新規顧客よりも100倍楽な開拓ができるじゃないですか!それが、既存顧客の蘇生です。
既存顧客のなかで、名刺交換だけしてご無沙汰となっている会社。創業者の前職で関係があった会社。まずはこういうところにアプローチすべきです。
なぜ、こんなお宝を眠らせるのか。それは、「創業者自身が恥ずかしい」からです。意気揚々と前職を辞めて「俺・私はビッグになるんだ」と創業したのに、やることが前職の取引先への営業?お前にゃ、恥も外聞もないのか?というわけです。
だからこそ、営業が入る意味があります。営業担当からの電話なら、創業者の恥ずかしさも感じず、堂々と取引できるからです。掘り起こせ、既存のツテ。立つ鳥跡を濁しまくりでも、恥を忘れて営業するのです!
営業は新規顧客が発注を検討する場に顔を出せ
次に、テレアポ……はまだ早いです。一億光年早いです。
次にやるべきことは、新規顧客が「発注したいな~」と思ったときに、どこに行くか考えることです。
弊社の場合は展示会やセミナー会場となります。
すなわち、展示会の出展と、セミナー開催を死ぬほどやるべし、となります。
と申しますか、多くのBtoBサービスはセミナーか展示会がやるべきこととなりますよね。
やりましょう。テレアポとフォーム営業は、展示会に年10回出て、セミナーのアフターフォローをしていたらいずれやることとなります。
何度も言います。いきなり、テレアポを、するな。
(これは過去の愚かな私へ向けたメッセ―ジです)
ただし、セミナー開催はフォーム営業・テレアポ営業のいいフックとなります。「無料でこんなセミナーをやるので来ませんか?」とメールを送れば、1,000通送ったうち10社くらいは来てくれます。それでも途方もない打率の低さですが……。
営業は展示会とセミナーを効率化して多数運用せよ
次に、展示会とセミナーの効率的な運用です。まず、展示会の什器や備品を調べつくし、どんな面積で出展しても似た備品で使いまわせるよう考えます。
展示会の備品は使い捨てと考える企業が多い中、使いまわせるパーツを一つでも増やせば設計・企画・搬出入の手配の手間が減り、効率化が狙えます。
私は年に何百件も催事を行う会社にいたことがあるのですが、その会社ではハレパネ(のりつきスチレンボード)の表に催事の印刷を、裏に什器サイズごとの切り取り線を印刷してまとめて生産し、催事ごとに適したサイズでカットすることで作業効率を改善していました。ちょっとした工夫で、できることが増えるわけですね。
展示会経験が無い方はこのあたりの勘所がわからないと思いますので、VMD(ヴィジュアルマーチャンダイザー)や、空間デザイナーに相談することをおすすめします。展示会の相談に乗ってくれる方は、ココナラにもいらっしゃいますので……!
そしてセミナーは、録画運用に限ります。
たとえば、大手のコンテンツ制作サービス会社「ウィルゲート」さんは、セミナーを録画してYouTubeの限定公開URLで配信し、質疑応答のみチャットで受け付ける効率的なセミナー運営を行っていました。
これなら1人の営業が同時に2つ以上のセミナーを開講し、質疑応答のみ画面を切り替えながら対応することが可能なわけです。
投資するならビジネスマッチングサービスよりセミナー広告
そして、駆け出し営業に寄ってくる次のワナが「ビジネスマッチングサービス」への登録です。私の知っているA社さんは登録費用が300万円。B社さんは年150万円。安くない。ベンチャーや中小企業には安くない投資だぞ……!
というわけで、それよりもおすすめなのが
セミナーの広告を出すことです。
SNSならfacebookに50代以上の決裁者が多いのでおすすめ。それ以外にも、facebookで人気のインフルエンサーにお願いして告知してもらう方法、facebookグループで告知する方法があります。
特にfacebookでは投稿へURLを貼るとURLとして認識されずリンクが出ない悪の仕様があるため、気になるアオリ文を本文に書き、セミナーへの誘導URLはコメント欄に書きましょう。
……と、ここまでをコンプリートするだけで半年は溶けると思います。これらが私の血と汗と涙の果てに得た、とても当たり前の手法です。どうか、ご活用ください。
300万円を無駄遣いして学んだ営業ゼロ人からの営業法
最後に、なぜ私がこんな苦労をしたのか?という背景事情を添えておきます。
スタートアップ企業では、えてして営業組織がないケースがあります。
「営業組織がない!?」と思う方もいると思いますが、創業者がサービスを開発する方だったり、資金調達を得意とする方だったりする場合、「営業は後から採用」になるのはよくあるケースです。
弊社の場合がまさにそうで、創業者の私はマーケター出身。自社の分析や「営業がいなくても依頼が来るサービスサイトの設計」はできますが、営業の「え」の字も知りませんでした。
ただ、いくら「誰もがお問い合わせしたくなる窓口サイト」を作ったところで、そこにたどり着いてくれるきっかけがなければ成果ゼロなわけで……創業6年目にして、筆者も営業を考え始めたのです。
最初は会社員として営業経験があるフリーランスに外注しようとしたのですが、かれらは「営業組織がない会社で何をすべきか」という課題の答えを持っていなかったため、全員フェイドアウト。結局自分で頑張ることとなりました。
そしてテレアポ外注やフォーム営業システムへ課金し、悲しみの成果ゼロを味わったのです。みなさまはどうか私と同じ苦労をせずに済みますよう、応援しています。
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